2014年6月24日火曜日

『幸せが見つかる23のヒント』 アルベルト・エスピノーザ著



いかにも今の若い人に好まれそうなこの題名。
巷で人気の「じぶん探し」の類に見えるが、内容は想像を遥かに越えた
読み応えのある哲学書である。

 
 

アルベルト・エスピノーザは1973年生まれ、
バルセロナ出身の世界中から注目を浴びる人気脚本家で俳優、小説家である。
14歳の時にがんを発症、余命1ヶ月宣告を受け、10年に及ぶ闘病生活の中で片脚切断、肺、肝臓の一部を切除、この間に患者仲間22人を失う。普通の若者が送るであろう学生生活の時期に、死の恐怖と常に隣り合わせの過酷な状況下で、アルベルトは明るい太陽の色をした「イエローワールド」という幸せの世界を見つける鍵となる23の発見をする。
絶望にうちひしがれそうになる著者を支え、前向きな希望を見いだしていくのを助けたこれらの発見は、誰でもすぐに実践可能で万人に通ずるものである。
個人的にもっとも衝撃的だったエピソードを紹介しよう。

 
◆発見その1「失うことはいいことだ。」

片脚切断前日に担当医から先の言葉を言われ、脚のさよならパーティーをやるよう進言された作者。アルベルトの脚にゆかりある人を招き、互いに彼の脚にまつわるエピソードを語り合い盛大に送り出すという趣旨で、サッカー仲間、山登りをしたおじさん、10歳の時に彼の脚を噛んだ犬を飼っていた友人(当日にはなんと加害犬も登場!)が集結した。
手術当日、面白いことを思いついたアルベルトは看護師とペアダンスを踊るというアイディアを
思いつく。心ゆくまで楽しんだ後、脚は予定通り切断された。

アルベルトはこう述べる。
「(切断後)悲しくはなかった。ちゃんとお別れをして、泣いて、笑ったから。

人生において、程度の差はあれ、喪失は誰しもが経験する。その困難に直面したとき、どうすればいいか。著者は、失うことに目をそらさず、正面から向き合い、喪失によって獲得できる事柄を模索する重要性を述べている。上記は23あるうちのひとつにすぎないが、作者はどんなに絶望的な状況下においても、視点を変えればカラフルな幸せに満ちあふれた最高に楽しいイエローワールドが見つかることをユーモラスに我々に教えてくれる。ラテンのエッセンスが盛り込まれた必読の一冊。

もうひとつ、注目すべきは本書を訳した松枝氏だ。原文を尊重しつつ、
非常に読みやすく素晴らしい翻訳をしてくださっている。
 
 
 本書は20カ国で翻訳、全世界140万部超のベストセラーとなり、本国のTVドラマシリーズが好評を博し米国でスピルバーグ監督によりリメイクが決定、今年の夏以降に放送予定である。
 
 
 
以下のリンクから、アルベルトのインタビューや動画などを見ることができる。
 
 
 
 
あなたの日常に、ラテンのエッセンスを。
 
 
Yu

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